こんにちは、フォリビーです。
今回はチームワークのお話です。
会議やブレストの場において、仲間やチームメンバーとでマネジャーが「全員で考えよう」と雰囲気作りから一緒に知恵を出し合うという機会をふんだんに持つという方は、多くいらっしゃることでしょう。
そのような「力を合わせてみんなで考えよう」というシーンにおいて、一見多数が集まった方がより良い案が出そうなものですが、実際には人が集まるほど風呂敷が広がって生産性の低下を招いているようです。
今回はそんな、「多数が集まることによってかえってって思考の品質が下がる」という傾向について、そしてその対処法について紹介していきます。
「思考の品質」は人の数に比例せず、逆に低減することがある
多数が集まることで思考の品質が下がるリスクについて、もう少し具体的に紹介してみましょう。
例えば、社内の気心の知れた人達で集まって会議を開催すると、知らず知らずの内にその人たちの間で「今の私たちが持っている『雰囲気』や『秩序』を大切にしよう」とする意識が働くものです。
会議が進み、議論が一定の方向にまとまり始めると、そこで反対意見を出すことは「雰囲気や秩序を乱す」として、賛成意見以外を言いづらい雰囲気が形成される──といったこともあるでしょう。
一見「良い考え」にみえる意見においても、それが客観的に正しい、良いものなのかどうかよりも「和を乱さないか」であったり、「(まとまっていた話が)まとまらなくなってしまうのではないか」といった観点に重きを置かれてしまうのです。
こうしたケースは決して珍しいことではなく、どの企業のどのレイヤーの会議においても同様の傾向が見られることも少なくありません。
つまり、集団で考えているのにも関わらず、思考の品質が一向に高まらず、個人で考える際よりもかえって浅はかな思考に留まってしまうことは、往々にして起こりえるのです。
集団浅慮(グループシンク)とは
先に説明したような集団でのでの思考の際に品質が高まらず停滞することを、「集団浅慮(グループシンク)」と呼びます。
集団浅慮(英:groupthink)とはアーヴィング・ジャニスが1982年に提唱した、集団において問題解決の質が低下する現象のことです。具体的には集団で問題解決する場面で、成員が集団維持(集団の一体感や心地よい雰囲気の維持)にエネルギーを注ぎすぎるあまりパフォーマンスに十分な注意が向かなくなり、解決の質が低下することを発見しました。
症状としては
- 同調圧力
- 自己検閲
- マインドガード
- 表面上の意見の一致
- 無謬性の幻想
- 道徳性の幻想
- 外集団に対する歪んだ認識
- 解決法略の拙さ
大きな原因としては集団凝集性の高さ、意思決定の孤立、リーダーシップへの忖度、問題解決のストレスの4つを挙げています。
では、前章で述べた「集団浅慮(グループシンク)」のケースと、そうならない時のケースとの決定的な違いはどこにあるのでしょうか。
その問いのひとつの大きな解になり得るのが、「対極の存在」です。
対極の存在とは、会議や議論の中で、多数派に対してあえて批判や反論をする人、またその役割を担う人のことを指します。
「対極」は、問題を俯瞰的に捉え、より良い未来に向けての意見を述べられる人
さて、「対極の存在」は、多数派に対してあえて批判や反論をする人、またその役割を担う人と述べました。
私たちの議論をより正しい(望ましい)方向へと進めていくうえで大いに役立ってくれるというのです。
もちろん単に多数派に反発するだけの存在であってもいけません。
重要なことは、集団の中でつい失われがちな客観性をもち、俯瞰的な立場から、議論している問題について多数派とは異なる建設的な意見を提示することです。
多数派の流れとは異なる意見が出れば、参加する人々は「今自分が指示している意見は、本当に正しい(適切)か」について振り返るきっかけに繋がり、また別の観点での意見やアイデアが出るということも起こりえます。
その結果出てきた多数の意見をまた収束していく際に、私たちは慣れ親しんだ集団の中で失われがちであった客観性を取り戻し、そしてこれまで信じていたものへの脆弱性に気付きやすくなり、以前よりも深掘りされた意見や見解に辿りつけるようになるのです。
ディスカッションで品質を高めていくポイント
では、組織・チームでの話し合いにおいて、品質を高めて建設的・客観的な議論を可能とするポイントについて紹介します。
集団浅慮(グループシンク)の状況を起こりにくくし、かつ必要に応じて誰もが対極の存在になれる「環境」を培っていくことです。
- 組織・チームの「共通の目標」への意識を高める
- 集団浅慮(グループシンク)が発生しやすい条件・環境を知っておく
それぞれ、順を追って見ていきましょう。
組織・チームの「共通の目標」への意識を高める
まず大事なことは、その組織・チームが共通して持つ「目標・ゴール」をしっかり意識することです。
集団浅慮(グループシンク)に陥らないという点だけではなく、組織・チームとしてのパフォーマンスを健全に高めていくうえでも、「共通の目標への意識」は是非ともしっかり持っておくべきです。
集団浅慮(グループシンク)が発生しやすい条件・環境を知っておく
続いてのポイントは、思考の質を下げてしまう源泉になる「集団浅虜(グループシンク)」が発生しやすい状況を理解しておくことです。
- ①団結力のある集団
- ②構造的な組織上の欠陥
- ③ストレスの多い状況
①の「団結力のある集団」は、それ自体は組織としては理想ですが、それゆえに意見やアイデアが偏り「現状を変革していく」為の考えは形成されにくくなってしまうこともある、ということです。
②の「構造的な組織上の欠陥」とは、
- 組織・チームのリーダーがメンバーの発言機会や公平性を担保していない
- 組織・チーム内で守るべき規範(ルール)・モラルが、不完全または欠如している
- 組織・チームの帰属意識が著しく欠損している
③の「刺激・ストレスの多い状況」とは、関わる人たちが常に精神的負荷の大きな環境下にあり、新たなストレスを回避しようとする意識が高まった状態を指します。
まとめ)「全員で考えよう」による生産性の低下を防ぐために
仲間で時間を共にして一つの課題・テーマについて語り合うことは大切です。一方で異なる考え方やマイノリティと比較し、チームのゴールは何か?最大限に効率をうむ方法を明確に定めることも大事です。そんな問いを探求し続けることで、集団浅慮(グループシンク)は起きにくくなるように感じます。
この機会に生産性を高める日々の業務やコミュニケーションを見直してみてはいかがでしょうか?
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